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−その他事業報告−

大塚山審査会(最終処分場の漏洩問題)について

最終処分場の漏洩問題を科学的立場・情報公開で審査

 本年6月に大平興産(株)より千葉県富津市大塚山処分場について中立性・科学性の立場から、情報公開を前提に調査・対策・審査を依頼されました。大塚山処分場は岩盤上に建設されていますが、敷地内の観測井の塩分濃度上昇が観測され、塩分を含む浸出水が漏洩している可能性が考えられました。なお、法律で定められた規制項目については検出されていません。
 このような最終処分場の漏洩問題をNPOが受託するのは、全国でも始めてのケースであり、「千葉県富津市大塚山周辺人工地層環境修復科学技術審査会」を設置し、審査に当たることにしました。審査会の構成は(大塚山審査会委員ワーキンググループ)のとおりです。7月10日に第1回審査会(第1回審査会議事参照)を開催し、7月31日に第2回審査会(第2回審査会議事参照)を開催しました。「漏洩防止応急・恒久対策井戸群設置計画」が審議され、その審査結果は、(第2回審査会結果)のとおりです。その後、調査がすすみ、「追加訂正資料」のように計画が修正されました。
 計画にありますNo.1、No.2の地質ボーリングが終了し、その結果は「追加資料」のとおりです。
 「漏洩防止応急・恒久対策井戸群設置計画」の内、保有水等の浸出の原因究明をまず行うこととし、「原因究明計画書」のように調査をすすめることにしました。調査の進展とともに調査計画の見直しが必要となり、「原因究明計画書(改訂)」のように修正しました。この計画書は、大平興産(株)から千葉県に提出されています。現在までの調査結果を、「中間報告その1」に示しました。
 10月29日に第3回審査会を開催し、これまでの調査結果を報告しました。「中間報告2(その1)、(その2)」にその内容を示しました。第4回審査会を12月21・22日に開催し、「中間報告3(その1)、(その2)」を報告しました。注入揚水井群の揚水による完全遮水の実証試験結果を「中間報告4」に示しました。
 平成19年3月3日に第5回審査会を開催し、「大塚山廃棄物最終処分場埋立地からの保有水(塩素イオン)等の浸出の原因究明結果と漏洩に関する完璧遮水対策」の概要報告を行いました。その特徴は、千葉県内のNPO法人日本地質汚染審査機構が開発したもので、NPO先進県の使命を達成しています。また、国内で初めて漏洩岩層の完璧遮水の実証試験に成功しました。この工法は、理科学的観点から漏洩現場の法則性を解明して、それに沿って行う対策法であり、従来の土木工学的手法に比べて、対策予算も格段に小さくなります。審査会では、この工法が非常にリーズナブルであるとして承認されました。「概要報告(その1)(その2)」にその内容を示しました。
 平成19年6月9日に第6回審査会を開催して、「揚水遮水完璧対策実証試験結果及び対策の実施状況」について報告を行いました。実証試験の段階で、実証試験地の観測井群のみならず、モニタリング観測井群の塩素イオン濃度が低下し、対策の成功していることが認められました。今後、対策揚水井、揚水-観測井を設置していくことが承認されました。
 平成19年8月5日に第7回審査会が開催されました。「揚水遮水完璧対策に係わるモニタリングと湊川集水域住民への安全性の提言」について報告を行いました。前回の実証試験の続きで揚水・揚水停止実証試験を行った結果、揚水遮水完璧対策は完璧なものであることが認められました。この対策に関わる揚水井・揚水−観測井列の設置結果と今後のモニタリング・システムについて報告し、承認を受けました。また、第一処分場の漏洩機構解明調査計画と湊川集水域住民への安全性の提言についても承認されました。
 平成19年10月8日に第8回審査会が開催されました。「揚水遮水完璧対策に係わるモニタリングの経過」について報告を行いました。完成した揚水井列・揚水−観測井列・上段揚水井列の3列の揚水遮水対策井列の内、揚水井列で揚水した結果、対策効果が明らかになったことが報告され、承認を受けました。また、4観測井について地下水位・電気伝導度をリアルタイムでインターネット上に公開していることを報告し、承認されました( モニタリングデータ公開参照)。
 平成20年9月28日に第1回審査会(第2次)を開催しました(通算第9回)。「大塚山第一処分場・第二処分場の塩素イオン地下水漏洩機構解明及び定期モニタリング結果と今後の調査・対策・モニタリング実施計画」について報告を行いました。第一処分場・第二処分場のモニタリング結果と第一処分場の機構解明経過について報告し、承認されました。また、第一処分場の今後の調査・対策・モニタリング実施計画及び第二処分場のモニタリング計画について報告し、承認を受けました。
   本審査会の審査結果に付きましては、本ホームページで順次公開していきます。

千葉県議会議長への陳情

地質汚染診断士の会から千葉県議会議長へ単元調査法の採用を陳情

 6月19日に「地質汚染診断士の会」上砂会長名で、千葉県議会議長に陳情書を提出しました。それは、地方行政が積極的に地質汚染問題の調査対策を行う条例を制定すること、条例には「単元調査法」の採用を明記すること、また、発注仕様に「地質汚染診断士」資格が必要であると明記すること、など7項目ついて陳情しています。

千葉県議会議長への「陳情書」(PDF形式629KB)

環境省への申し入れについて

指定調査機関現況報告の関連資格保有状況への地質汚染診断士追加の申し入れ

 特定非営利活動法人 日本地質汚染審査機構は、10月31日環境省水・大気環境局土壌環境課に「指定調査機関の現況報告及び指定調査機関の指定の基準に係る取り扱いについての関連資格追加の御願い」を理事長名で申し入れました。
 環境省は平成18年10月17日に土壌環境課長から「指定調査機関の現況報告及び指定調査機関の指定の基準に係る取り扱いについて」を各指定調査機関に配布し、11月10日を期限として現況報告書の提出を求めています。この現況報告書の第5項で関連資格保有状況を聞いていますが、(社)土壌環境センターの土壌環境管理士・土壌環境保全士・土壌環境リスク管理者と(社)全国地質調査業連合会の地質調査技士「土壌・地下水汚染部門」のみを取り上げています(別紙現況報告書)。いずれも、民間団体が認証する民間資格であり、当法人が認証する”地質汚染診断士”と同列のものであります(当法人の資格は格段に高度なものですが)。にもかかわらず、環境省がこれら2団体の資格ついてのみ報告を求めることは、著しく公平を欠くことであるので、当法人が認証する地質汚染診断士についても追加していただきたく、別紙申入れのとおり申し入れました。
 11月22日に土壌環境課担当志太氏から藤崎副理事長に電話があり、この件について話をしました。担当者の話を要約すると
(1)資格についてはあくまで参考のために聞いたもので、指定の基準にとりあげるつもりはない。
(2)次回の調査(2年後か3年後かは分からないが)では、地質汚染診断士も含めて、他の資格についても
  考慮する。
とのことでした。
 しかしながら、環境省が2民間団体の資格のみを取り上げ、それを重視するかのような印象を与えたという事実は残る訳で、当法人にとっては事業の妨害を受けたに等しいと感じざるをえません。環境省が意図したとは思いたくありませんが、昨今、蔓延しているいじめ問題(それも教師が荷担した)と同じ構図が見えてなりません。当NPOも、「科学性・中立性をもって美しい国土・日本を創る」という強い志と、それに賛同された方々の力で存続してきています。このような大人社会のいじめ構造は多数あると思います。それらの大人社会のいじめ構造の改革なくして、子供達のいじめ社会撲滅は、道遠いと思われます。
 当法人としては、今後とも地質汚染診断士の社会的地位向上のため、宣伝・広報活動に努めるとともに、関係諸機関への働きかけを行ってまいります。 

環境省土壌管理課の「現況報告書」(PDF形式102KB)

環境省水・大気環境局土壌管理課への「申入れ」(PDF形式116KB)

財務省への申し入れについて

コンサルタント業務選定業者資格への地質汚染診断士追加の申し入れ

 特定非営利活動法人 日本地質汚染審査機構は6月23日財務省理財局国有財産審理課に「国有地土壌汚染状況調査コンサルタント業務選定業者資格への地質汚染診断士追加の御願い」を理事長名で申し入れました。
 財務省は平成16年6月28日に財務省理財局国有財産審理課から関係各位に別紙お知らせを配布しています。このお知らせは、国有地において土壌汚染の蓋然性がある土地について土壌汚染対策法に沿って調査を実施し、土壌汚染に関する専門家としてのコンサルタント業務について、土壌環境監理士を有する指定調査機関たる法人又は土壌環境監理士で指定調査機関である個人を選定業者とするとしています(財務省のお知らせ参照)。
 土壌環境監理士は土壌環境センターが認証する民間資格であり、国の発注で業者選定をおこなう場合、土壌環境監理士のみを指定するのは問題です。国家が法律により高度な技術を有する称号として与えられる技術士も認めないことは甚だ遺憾であり、当法人が認証する地質汚染診断士についても追加していただきたく申し入れました。
 財務省には6月23日14時に楡井理事長、藤崎副理事長、上砂理事の3名で財務省理財局国有財産審理室福田幸成課長補佐、訟務係長谷川久泰財務事務官と上記の件について、当法人の概要と活動内容、地質汚染診断士規約、試験問題、研修会テキスト等を提出し、土壌環境監理士とは勝るとも劣らないものである旨説明しました。
 福田幸成課長補佐の説明では、土壌汚染は非常に難しい調査であり、財務省の担当者は専門家では無いので、非常に多くある環境省の指定調査機関のどこに発注すればよいのか分からなかった。環境省、国土交通省に事情を説明しいろいろ教わった結果、土壌環境センターで土壌環境監理士を認定していると環境省から紹介を受けとりあえず(前任者が)「お知らせ」を出した。現在は、不動産鑑定評価基準も改正され「お知らせ」は実質的には適用されていないとのことでした。
 しかし、汚染調査の発注に当たりこの「お知らせ」を入札条件にしている地方公共団体(鎌倉市、逗子市、堺市)もありますので、当法人では公平な立場で地質汚染診断士を扱うよう個別に地方公共団体に申し入れをしていきます。また、会員・地質汚染診断士におかれましては、そのような事例が有れば事務局までお知らせ下さい。必要な処置をとってまいりたいと存じます。

財務省理財局国有財産審理課から関係部署に配布された「お知らせ」(PDF形式390KB)

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